愛人契約

愛人契約をしているスミレちゃんが「今日は焼き肉を食べたい」と言うので、食べ放題の焼き肉店へと行った。
焼き肉なんてくたびれた胃袋のおっさんの僕にはつらいのだけど、まだまだ若いスミレちゃんはもりもりと食べる。
「焼肉っつーたら、白いメシだろうがよ」
なんて大盛りご飯に生卵まで注文して、ジャンジャン肉を焼いていくスミレちゃんのパワフルさと言ったら。この小さな体のどこに焼き肉が入っていくのだろうか。
スミレちゃんとは、愛人契約以降、何度か食事をしているが、そんなに大食のイメージはない。僕の方がたくさん食べているくらいだ。
しかし、焼き肉だと立場が逆転する。
「うち、貧乏でさー」
更に上カルビを2人前注文して、スミレちゃんの食欲は衰えることがない。
「毎日、お腹を空かしてた。焼き肉なんてテレビドラマの中の世界の食べ物だと思ってたんだよ」
そんな幼少期を経て体と胃袋は小さく育ってしまったが、焼き肉だけは当時食べられなかった欲求を晴らすためか、いくらでも食べられるという。
「私が愛人契約してるのも、焼き肉を腹いっぱい食べるためなんだ」
この食べっぷりを見ていると、あながち冗談でもなさそうだ。
締めに韓国冷麺まで食べたスミレちゃんはすっかり満足したようだ。
愛人契約
ところで、僕たちはこれから、焼き肉の匂いまみれでセックスするのだろうか。胸やけがしてしまいそうだ。
「食欲は十分満たしたから、次は当然・・・アレよね?」
夜道をホテルへと向かいながら、スミレちゃんは相撲取りの様にパンパンになった腹をポンとたたく。
確かにスタミナはフルチャージされた気がする。焼き肉力の助けを得たパワフルセックスがこれから待っている。
焼き肉の匂いも夜風がきれいに流してくれたようだ。僕たちは溢れんばかりの性欲を満たすために、心躍らせながらホテルの門をくぐった。
そして今、僕の横ではすっかり満腹になったスミレちゃんが、寝息を立てていた。
満たされた食欲が呼び込んだ次なる欲は、性欲ではなくて、睡眠欲の方らしかった。
幸せそうに眠ってしまったスミレちゃんに、僕は仕方ないなあとばかりに軽くキスをした。焼き肉の後味がちょっぴり残っていた。
デート援
愛人契約の意味